22話「風呂場での戯れと」




 「おまえ………何でそんなに離れてんだよ」
 「…………」
 「小さい頃はよく一緒に入ってただろ?」
 「それは子どもの頃だったでしょ?!」


 響は浴槽の端に寄り、千絃から離れるようにして背を向けて座っていた。
 恋人になってまだ数日。そして、まだ裸など見たこともないのに、何故一緒に入らなければならないのだろうか、と響は千絃を睨み付けたいぐらい恥ずかしい思いをしていた。




 怪我の抜糸が終わった後。
 響を迎えに来た千絃は、そのまま彼の部屋へと連れていった。そして、千絃にキスした後「じゃあ、約束通り綺麗にしてやる」と、風呂に入ろうとしたのだ。響は何度も拒否したけれど、彼も意思を曲げず、響の服を脱がそうとし始めたのだ。千絃は「自分で脱がないなら、そのままベットに連れていく」と言われてしまい、響はやむなく彼に隠れて服を脱いで急いで風呂場まで逃げたのだ。
 けれど、彼が風呂場に入ってくるのは当然の事で。響はさっきから体を丸めて座るしか出来なかった。



 「………おいっ」
 「っ!………キャアっ!!」


 響の体を千絃が引き寄せ、千絃は後ろから抱きしめるように体を寄せた。


 「……どうせ今から全部見ることになるんだから、もう諦めろ」
 「………そ、そうかもしれないけど……明るい所は恥ずかしいのよ」
 「はいはい」