「…………月城さんと何かありました?」
「え?!」
気づくとすぐ近くまで寄り、響の耳元で囁く斉賀に響は思わず高い声を上げてしまった。
動揺した響の様子を見て、年下のはずの斉賀がニヤリと笑った。
「あー!やっぱり何かありましたね!前から月城さんが響さんを見る視線は優しくなりましたけど、今は響さんもとってもほわほわしてて………もしかして、昨日帰ってから………」
「なななんにもないですよ!?斉賀さん………っっ!」
「ははは!響さんは嘘が下手ですねー」
あまりに下手な演技だったのだろう。斉賀はとても面白そうに笑っていた。
「一緒に会社に通勤したり、帰ったりしていたのに、恋人じゃないって聞いたときは驚きましたけど……やっぱり月城さんは響さん狙いでしたかー。これで会社内で何人の女の子が泣く事か………」
「斉賀さん……その他の人には絶対に内緒でお願いしたいんですけど………。千絃って、そんなに人気あるの?」
「えぇ!それはそうですよー。かっこよくてクールで、でも優しい所もあるし仕事は出来る。先輩にも後輩にも慕われて、出世するでしょうし、他の会社に引き抜かれてもよし!独立しても大丈夫だろうし………。それぐらい、月城さん自身にも月城さんの仕事にも惚れてる人は多いって事ですね」
「………そうなんだ。千絃はすごい人になってたんですね」