「あー、志織ちゃんごめんね忙しいところ。」
「いえ、こちらこそお時間頂きありがとうございます。遅くなってしまい、申し訳ございません。」
会社の会議室に向かうと、2人分のコーヒーを準備してくださって松川さんが座っていた。

「いえいえ、これから話すことは志織のこれからのことなんだけどね。」
私は思わず唾を飲む。
「単刀直入に言うね、志織ちゃんに転勤の話が出てるの。」

転勤…。私は大学の時に実家を離れこの神戸の地に越してきた。それ以来はずっと神戸で一人暮らしだ。
「転勤先はきまってるのですか?」
「まだ確定ではないけど、おそらく東京かなって。」