「あづってそんなに怜央と仲良かったのか?」
「ああ。だって俺の学校の友達、あいつくらいだし」
 母親のせいで学校を休みがちな俺は本当に学校に友達がいなくて、親しいのはせいぜいあいつくらいなもんだ。

「あづ、友達を作るのは良いが、もっとマシな奴にしろ。あいつは質が悪い」
 眉間に皺を寄せて潤は言う。
「お前は俺の父親か?」
 本当に潤が父親だったら、どんなに良いんだろう。
 潤が父親だったら、きっと虐待なんてとっくのとうに解決してるよな。

「ちげーよ! 俺はただ、あづが心配なだけだ。怜央はすげえ悪いやつではないのかもしんねえけど、俺はあいつを信用できない」
「俺も信用はしてねえよ」
 あいつは素行が悪いからな。

「は? それならなんで一緒にいるんだよ!」
 潤が俺の前に来て、大声で言う。
「さあな」

 あいつといると虐待のストレスを解消できるからなんて言えるハズもないので、俺は適当にはぐらかした。

「さあなじゃねえよ! 答えろ!」
「まあまあ。良いじゃねえか。もう遊ばないんだし」

 奈々はどうやら俺が怜央と仲直りをしない前提で話を進めているようだ。そうとも限らないのにな。学校同じだし。ま、これを伝えたらさらに腹をたてられそうなので、いわないけど。

「それもそうか」
「そーそ! 硬いこと言わないの、潤」
 指を立てて、恵美は言う。
「そうだな」
 恵美に笑いかけてから、潤は肩をすくめた。