あいつは言葉遣いが悪くて、煙草も吸うし、酒も飲むし、セフレが何人もいるので、正直言って、とてもいい友達ではない。潤はそれをよく知っているから、俺があいつとつるむと、決まって苦い顔をする。それでも俺があいつといるのは、あいつと一緒に素行が悪いことをやってると、虐待のストレスが解消されるからだ。
潤はよく俺に付き合って喧嘩をしたり酒を飲んだりしてくれるけど、根が真面目だから、決して毎日付き合ってくれるわけではない。せいぜい週に二回あれば良い方だ。でも怜央は違う。あいつは毎日俺のストレス解消に付き合ってくれる。それにあいつは俺が怜央に付き合ってる体にしてくれるから。そのおかげで、俺は素行が悪いことをしてるのを母さんに責められても自分が主犯じゃないと言うことができるので、それで虐待が少しだけ軽くなったりしている。
俺の素行が悪いと、担任とかからそうなった心当たりを聞かれる可能性があるから、母さんからすると、とても分が悪いそうだ。まあだからといって虐待が世間にバレるのを恐れている母さんが、『うちの子の素行があんたの子供のせいで悪くなってる』なんて文句を怜央の親に言いに行く心配もないので、俺が『怜央が主犯だ』といっても、別に何も問題はない。
その理由は、さっきと同様。怜央の親に、俺が一緒になって素行の悪いことをしてる原因を聞かれる可能性があるからだ。もちろん誘われたからしたでは小学生の解答なので、そうなったら母さんは、相手が納得する理由を頭を捻って考えないといけない。そんなのめんどくさいったらありゃしないだろう。
それに、怜央の親に文句を言いに行くなんて、そんなあたかも息子を愛している母親がするようなこと、俺の母さんがするわけないし。
はあ。
くそ。母さんのことを考えていたら、ただでさえ虚しい人生を送っている俺のことが、さらに虚しく思えてきた。もうやめよう、母さんのことを考えるのは。