「私・・・思い出せないかもしれない・・・」
「ん?」
「私の記憶はずっと戻らないかもしれない。私は前の私と変わっちゃってるかもしれない。うんん。変わった・・・と思う・・・。」
絞り出すように言った言葉。
少しの沈黙が私たちを包み込む。

「ばかだな」
沈黙を破ったその言葉が発せられたほうへ視線を向ける。
「鈴は鈴だろ」

ずっと不安だった私を救うような言葉・・・。

「記憶なんて関係ない。もう一度思い出を作ればいい。記憶を作ればいい。生きてるんだから何回だってやり直せる。鈴は鈴だろ。」

そう言って微笑む視線の先にいる人は・・・・嶺だった・・・。