「実は」
嶺が急に座りなおして話始める様子に、私と恭は嶺に注目した。
「どうしても外せない仕事があって、あさって帰ることになりました。」
「・・・」

いつまでもこの生活を続けられないと思っていた。
でも、こんなに急に・・・?

「鈴とこうして再会できて本当にうれしくて、救われる思いでした。本当に長谷部さんには感謝しています。それにここに置いていただいて・・・。いろいろ配慮いただいたこと、感謝しています。本当に。」
改まり頭を下げる嶺に恭も小さく頭をさげてこたえる。

「鈴を助けていただいたこと。鈴を守って支えてくださっていることにも本当に感謝しています。ありがとうございます。」
もう一度頭を下げる嶺。

私のことなのに。自分のことのように頭を下げる彼に、心が痛む。