「でも・・・」
「ん?」
「自然と浮かぶの・・・メロディが・・・音符がついて浮かんでくる・・・それに」
「それに?」
嶺に抱きしめられたまま私は話続ける。

「メロディと一緒に聞こえる・・・」
「何が?」
私は少し嶺から体を離して嶺の方を見た。

「あなたの・・・嶺の声が・・・」
私の言葉に嶺は顔をクシャっとゆがめてからもう一度私を抱きしめた。

強く強く・・・。

「なんだよそれ・・・すげーうれしいじゃんか・・・」
震える嶺の声に私の心が震えだす。

うんん、私の心の中にある閉じ込められた記憶が震えだす。