なんでこんなに京一のことばかり考えているのだろう。

別にあんなやつが誰とどこで何をしていようと、構わない筈でしょ?


そう自分に言い聞かせても、思考回路は望まない方向に進んでいって。



その理由に気付かない振りをしたい。

ただ少し、予想外のことに驚いただけだよ。

そう、それだけ。




でも心のどこかで悟っている。


だって……。



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『うわぁ~、ハンバーグ?』


『そうだよ。優子が好きだから頑張ってみた』


『ん! 美味しい! ――、すごいね! コックさんみたい!』



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『大丈夫だからな』



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『俺が守ってやるから』



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『また来年、あるだろ? また見に行こう』



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だって……小さい頃、私に唯一の安心を与えてくれたのは――




『ん! 美味しい! お兄ちゃん、すごいね! コックさんみたい!』




京一(兄)、なのだから。