「あと3時間くらいしたらライトアップ始まるねー」


「だな。それまでぶらぶらしてるか」


「うん。そうしよ」



そうやって私達は歩き出す。


公園は広くて、時間は潰すつもりでなくてもどんどん過ぎていった。

池があったり他の植物が植えてあったりして、二人でゆっくり見て回る。



「見て見て! 鯉!」


「お、結構居るな」


「可愛い……」



そんな風に池の中の鯉から目線を上げた時だった。



「え…………?」



自分の目を、疑った。





京一が居た。

京一って花見とかするんだ。もうそんなもの、しないと思ってたよ。




でも……あそこに居るのは、本当に京一?




――あんな顔、見たことない。
いや、“久しく”見ていない。


あんな――優しい顔。



隣に居るショートカットが似合う綺麗な女性に笑い掛けている。

彼女かな? 京一、そんな人居たんだ――。




何故か、酷く動揺している私がいた。




「レイ?」



ユウの声に、ハッと我に返る。



「あ、ああ。ごめん」



いつの間にか止まっていた足を動かして、彼に追い付いた。



「何かあった?」


「ううん。ほんと、なんでもないの」



口ではそう言っているけど、頭の中は京一のことでいっぱいだった。


その女の人は誰なの? 彼女なの?
そんな顔、もう私には見せてくれないのに。
その人と――結婚とか、考えてるの?