「あー・・・・・・苗ちゃん、どれ頼む? 俺は、これにする・・・」


 雅暉さんはそう言って味玉の入った一番オーソドックスなものを指さした。


 目は合わなかった。


「あ、じゃあ私はこっちで・・・・・・」


 私は味玉の代わりにほうれん草が入っているものを指さした。


 雅暉さんは店員さんに声をかけて私の分まで注文してくれた。


 いつもなら、空さんがいて、何も意識しなくても自然に会話が始まっているのに、今日は何を話したらいいのかわからなくて、時間が長く感じる。


「・・・・・・空、ちゃんと課題やってんのかなー。はは」


 そう言って先に口を開いてくれたのは雅暉さんだった。