和弥さんが深い溜息と共に口を開く。

和弥「はぁ…何勝手なこと言ってんだよ。
てか、俺の気持ちは完全無視なの?
大体さ、俺と付き合うのと、お前の父親と
何の関係があんだよ?」

「あの人は私の存在自体を消したいの。
…多分だけど、もしかしたら子供の頃から
喘息があったの知ってて病院に行くなって
言ってたんじゃないかと思う。
私が…生まれてきた事自体、罪みたいなものだもん。
和也さんの存在も知ってしまったし、
私と和弥さんの関係まで知られたら…
本当に何するかわかんない。
和弥さんが医者として、なにか不利益を
被ってからじゃ遅いの。
だから…それだけは避けたい。
私は1人で大丈夫。和弥さんにはもっと
ちゃんとした人と付き合って欲しい。
私なんかじゃなくて。」

心にもない事をペラペラと喋ってしまう。
でももう一緒にはいられない。

しばらく黙って聞いていた和弥さん。

和弥「…ふざけんな。生きてるのが罪って何?
訳わかんねぇ事言ってんなよ。」

…低く、怖い声。
怒鳴られるより余計怖いかも。

和弥「…お前が父親からどんなこと言われて
生きてきたかしらねぇけど、父親との関係が
バレるとまずいから医者と付き合ったら
ダメってか?人の恋愛なんて他人がどうこう
できる問題じゃないだろ。…そもそも、
お前を捨てた時点で縁は切れてんだから、
そんなの気にしても仕方ねぇだろうが。」

「そうかもしれないけど。でも…」

和弥「でもじゃねぇ。
てか…お前の父親には話してきたから。」

…え?