そんな私の心配どおり、その日のうちに「桃井という女と万里くんが付き合っている」という噂は校内中に広まってしまった。

そして、その噂を耳に入れた日奈子ちゃんから、「彼氏ができたってどういうこと!?」と質問ぜめになったのはまた別のお話。


「起立、礼。さようなら」



学校が終わり、ほっと息を吐く。

今日はなんだか、とっても疲れた……。

どこに行っても見られるし、いつも以上にこそこそ何か言われていたし、肩身の狭い1日だった……。

万里くんって、こんなにも人気なんだっ……。すごい人だなぁ……。

改めて、私とは天と地くらい差があると思った。

西田くんは、あれ以来話しかけてくることなく、私と視線を合わせようともしなかった。

これ以上関わるのは避けたいと思っていたから、ほっとしている。

そういえば……。



『今日、放課後待ってて。先に帰るのはなしだから』