「それじゃあ、もしまたなんかあったら連絡して」



そう言って、万里くんは教室を出ていった。

ちょうど入れ替わるように、教室に日奈子ちゃんが入ってくる。



「桜ちゃん? 教室が騒がしいけど何かあったの?」



きょとんとした表情で、私を見つめてくる日奈子ちゃん。



「えっと……ちょっと私にも……」

「??」



なんだか頭がよく回らなくて、きちんと説明ができない。

助けてくれたとはいえ、彼女って嘘まで言わなくてもよかったんじゃないかなっ……?

万里くんは有名人みたいだから、きっとすぐに噂は広まっちゃうだろうし、そうなったら万里くんにとっては、マイナスにしかならない。

私みたいな地味なのと付き合ってるって勘違いが広まったら……万里くんの評判が下がっちゃうっ……。