まるで、大切に扱われているかのような気分になってしまう。男の人は怖いと思っていたのに……万里くんだけは、違った。



「あの……あり、がとう」



西田くんに感じていた恐怖がまだ残っていたのか、うまく声が出なかった。でも、なんとか感謝の気持ちを伝える。

万里くんがいなかったら、きっと断ることもできなかっただろうから。

本当に……ありがとう。



「だから、お礼なんかいらないってば」



そう言って、ふっと微笑んだ万里くん。

その笑顔が綺麗で――とっても、かっこいいと思った。



「今日、放課後待ってて。先に帰るのはなしだから」



万里くんは、「約束」と付け足して、優しい眼差しでじっと見つめてくる。

こくりと頷くと、満足げな笑顔が返ってきた。

今度はきゅんと音を立てて高鳴る心臓が、苦しい。

どうしてかわからないけど、ドキドキして、痛かった。