西田くんも驚いているのか、素が出てしまっている。



「嘘じゃない」



万里くんはそう言って、私のほうを見た。



「桜、こんなダサい男友達いたの?」



まるで西田くんを煽るような言葉を吐く万里くんに、返事に困ってしまう。

一瞬見えた西田くんの顔は、恥ずかしそうに赤く染まっていた。



「……冗談じゃない」



そう言い残して、教室を出ていった西田くん。

……万里くん、もしかして……。

助けに、来てくれたの?

西田くんの、昨日の言葉を聞いたから……?



「……桜、大丈夫?」



心配するようにそう聞いてくる万里くんの声は、とても優しいものだった。

どきりと、胸が高鳴る。

この人は……いったい、どこまで優しいんだろう。

万里くんの優しさが、気づかいが、純粋に嬉しかった。