最近一緒に登校していなかったから、別れたって噂が流れることは仕方ないと思うけど……普通は逆じゃないのかな……?

私が万里くんに振られた、ならわかるけど……。

実際、これから振られるわけだから……。



「佐伯って無愛想だし、つまんなかったの? 優しくなさそうだもんね~。桃井さんってどんな人がタイプな―」

「ち、違いますっ……!」



男の子のセリフを、慌てて否定した。

万里くんを貶すようなことを言われて、我慢できなかったんだ。

万里くんは無愛想じゃないし、つまんなくなんかもないっ……。それに……。



「ば、万里くんは誰よりも優しいです……! 私が万里くんのこと振っただなんて……あ、ありえません……!」



いつだって、どんなときだって万里くんは優しかった。

突然家に来た私みたいな女にも……とびきり優しくしてくれたんだっ……。