「うん! 桜ちゃん一緒の班になろうね!」
「ふふっ、うん!」
嬉しそうに笑う日奈子ちゃんに、癒やされた。
こんな私と仲良くしてくれる日奈子ちゃんは、ほんとにいい子だ。
日奈子ちゃんは私にとって、憧れの女の子だった。
あっ……。
毎日の習慣を忘れていたことに気づいて、慌てて立ち上がる。
「私、花壇に水やりしてくるっ……!」
すっかり忘れてた……! 少しでもお世話を忘れたら枯れてしまうような花もあるのにっ……。
「いってらっしゃい!」
日奈子ちゃんに見送られて、教室を出る。急いで、花壇に向かった。
そろそろこのクレマチスが咲きそうっ……。
大きく育ってねと、1つ1つの花に水をやる。
そのとき、少し離れた場所から話し声が聞こえた。
「ねぇあれ……例の子じゃない?」
「うわ、あの子なの? 噂以上に地味なんだけど」