きっと桜は、お母さんのことがとても大切なんだと思う。

日奈子とかいう親友も、いつも世話をしている花壇の花も……桜は周りのものを、精一杯愛している。

そういうところに、どうしようもなく惹かれてしまうんだと、改めて思った。



「……そんな怯えないでよ、調子狂うし」



無神経を絵に描いたような海里も、さすがに自分の非を認めたらしい。



「俺たちだって、別に嫌ってわけじゃないから」



千里も、気まずそうに頭を掻いている。



「そーそ。朝も夜も美味しいごはん食べられるし。だから、なんて言うか……」



気まずそうに視線を逸らしたあと、口を開いた2人。



「ちょっと言いすぎた……ごめん」

「俺も、冗談がすぎたよ」



こいつらが謝る光景なんて、初めて見た。



「い、いえ……お2人は何も悪くないので……謝らないで、くださいっ……」