好き勝手話す2人に、我慢の限界に達した。



「お前たち、いい加減に――」

「あ、あのっ……」



文句を言おうとした俺を遮るように、桜が小さく声を発する。今にも消え入りそうな、弱々しい声。

俺も2人も、じっと桜のほうを見た。



「わ、私みたいな人間が急に家に来て、不満なのはわかります……し、仕方ないことだと思いますっ……でも……」



2人に怯えているのか、今にも泣きそうな桜に胸が痛む。



「私、皆さんの邪魔にならないように頑張りますので、その……せめてお母さんと悠里さんの前では、仲がいいように、振る舞っていただけたら、なと……っ」



たどたどしいけど、一生懸命そう話す桜に、千里と海里も表情を変えた。



「い、家のことも、頑張る、ので……よ、よろしく、お願い、しますっ……」



……こんなヤツらに、そんなこと言わなくていいのに。