「うんっ……」



2人で、廊下を歩く。



「うわ、本当に付き合ってるんだ、あの2人」

「プリンスって、女嫌いだったよね?」



こそこそと話す声が、あちらこちらから聞こえる。

やっぱり、万里くんといると視線が痛いっ……。本人は、まったく気にしてないみたいだけどっ……。



「俺が佐伯の顔だったら、もっと美人選ぶわ」

「佐伯万里、趣味わる~」



少し離れたところから、そんな言葉が聞こえた。

気にしないようにしようと思ったけど、隣を歩いていた万里くんがピタリと足を止める。

そのまま、声のしたほうへと振り向いた万里くん。



「……おい」



隣からドスの利いた低い声が聞こえて、思わず私がびっくりしてしまう。



「ひっ……!」



男の子たちは、そんな怯えた声を出して逃げるように去っていった。



「ば、万里くん、平気だよ」