扉を開けて、部屋を出た。


――バタン。



「はぁっ……」



ヤバか、った……。

もしあと少し遅かったら、本当に押し倒していたかもしれない。

華奢な身体を組み敷いて、自分の口を乃々の唇に押し付けて――。

絶対にダメだ。今まで我慢してきたものが、台無しになってしまう。

純粋でなんにも知らない乃々のペースに合わせて、ゆっくり幼なじみから抜け出すって決めたんだから……。こんなところで、タガを外すわけにはいかない。

風呂に入って、落ち着こう。

きっとまだ怖がっているだろうから、早く部屋に戻ってあげないと……。

急いだつもりではいたけれど、風呂から上がって時計を見たら、時刻はすでに夜の10時だった。

乃々は子供体質で基本的に9時には眠ってしまうから、もう寝ているだろう。

髪を乾かして、部屋に戻る。

起こさないようにとゆっくり部屋の扉を開け、同じように閉めようとしたときだった。


――ぎゅっ。


背後から、華奢な身体に抱きしめられたのは。



「……わっ、びっくりした」



どうやら、ドアの横で座り込んで、俺が戻ってくるのを待っていたらしい。