「だって……あんな怖いの、ダメだよっ……」



……っ。

甘えるような言い方に、今度こそダメだと俺の脳が警報を鳴らす。

キャパオーバーだ。……これ以上は、まじで無理。

押し倒してめちゃくちゃにしたい衝動に駆られて、笑顔を保つのもしんどくなってきた。



「俺もそろそろ、お風呂入ってこようかな」



唐突すぎると思いながらも、一刻も早く乃々から離れる口実が欲しくて、そう口にする。



「……っ、え……?」



心細そうな声が、室内に響いた。

一瞬、嘘だよと笑って頭を撫でてあげたくなったが、今の俺にそんな余裕はない。



「行ってくるね」

「あっ……」



ごめんね、乃々。でも、乃々のためだから……。

酷いこと、されたくないでしょ?

乃々を自分の膝からおろして、立ち上がる。