「大丈夫、怖くないよ。作りものだから」
俺は自分の膝の上に乃々を乗せて、ぎゅっと抱きしめた。
乃々はすぐに抱きしめ返してきて、俺の胸に頰を擦り寄せてくる。
どうにかしたいくらい可愛くて、内心いろんな感情が爆発寸前だった。
普段は甘え下手で、朝くらいしか甘えてくれない乃々。
こんなに甘えてくれるなら、これからは頻繁にホラー映画をつけてみるのもいいかもしれない。
乃々に甘えられることが何よりも嬉しい俺にとって、今は至福の時間。
「よしよし、大丈夫だよ」
「うぅ……京ちゃ……っ」
幸せな時間に浸っていたが、ぐすぐすと泣いている乃々の姿に、さすがにいじめすぎたかと反省した。
これ以上はかわいそうだな……。
そっとリモコンに手を伸ばして、テレビを消した。
「ほら、終わったよ。もう大丈夫」
ポンポンと背中を撫でながらそう言うと、俺の胸にすっぽり埋まっている乃々が恐る恐る顔を上げる。
必然的に上目遣いになっていて、目に毒すぎる光景。
ヤバい、今日はほんとにヤバい。