15時15分

早く新しい傘を取りに行かなきゃ!
そう思った時、私はもう誰かの傘の中にいた。

「「そんなところにいたら濡れちゃうぞ」」

それが彼が私に初めて発した言葉だった。
目の前には年上らしき優しい笑顔の男性がいた
「あ、ありがとうございます。でも
大丈夫です。今傘を取りに行くところなので。」

「うん。そっか。」

そう言って扉まで傘をさして
私が濡れないように気遣ってくれた。

濡れちゃうぞ。

そう言った彼の肩は私を傘に入れたせいで
びしょ濡れだった。