「――――。」


再びシュウとケンタの動きが止まった。

聞き間違えであってほしかった。



「恥ずかしながら親心てやつでして…
これはほんの気持ち程度ですが」


そう言うと男性は、カバンの中から取り出した膨らんだ封筒を机の上に置いた。

中身は見なくても想像はついた。



「…まぁ考えときますよ」


そう言って大城監督が封筒を受け取ろうとしたその時、


- バン! ! -


テーブルを激しく叩き付ける音が店内に響いた。


その音に驚き、大城監督とその連れは思わずシュウとケンタに目をやった。


「ケンタやめろ!!」


シュウが止めるより早く、ケンタは大城監督のテーブルの前で仁王立ちをした。


「な、なんだね君!?我々に何か用か!?」


「…何か用かじゃねえだろ!!」


そう言うとケンタは大城監督の連れの襟を掴み、一気に引き上げた。