(…ぅそ!!!)


シュウとケンタは一瞬時を止められたように体をビクリとし、お互いの顔を見つめあった、


(…に、に、兄ちゃん…)

先になんとか声を出したのはケンタだった。

シュウは自分の聞き間違えであるかのように、小さく何度も首を横に振った。



(…いま、確かに名前呼んだよね??)


(…いや、いや、いや…)

シュウは完全に動転し、理解が出来ていなかった。



「…そうですか、しかし監督、ちょっとお願いがあるんですが」


そう言う男性の、下から伺うような素振りに大城監督の酒を飲む手が止まった。


「…実は予選通過作品の中の一本ですが、ウチの大学の作品でして…
ぜひ大賞に選んで頂ければと思いまして…」