「そこを何とかお願いします。」


「…清水君、無理なものは無理だって」



シュウと映画制作会社の責任者との話し合いは2時間に及んでいた。


「お願いします、弟は今は無名ですがこれから必ずヒットを出す音楽家になれます」


「清水君、何度も言うが映画てのはスポンサーの意向が絶対なんだ。
作品中で乗る車はもちろん、飲む酒、吸うタバコにまでスポンサーの許可が必要なんだ。
ましてや主題歌なんて重要なものを決めることなんか出来ないんだよ!」


「…じゃあ私はこの作品の監督を降ります」

「いい加減にしろ!!
そんなワガママが通用するか!」


そう言い机を叩き付けられたが、シュウは真っ直ぐと目を見つめ反らさなかった。


「…失礼した、しかし清水君、こう言ってはなんだが音楽業界も実力が全てだ、弟さんが本当に力を持っていれば2年間もくすぶっていないはずだよ
…それによしんばもしここで主題歌になったところでその後に一番苦労するのは弟さんじゃないのか…?」


「…」


そう言われるとシュウはもう何も言えなかった-