そこには4年前、初めてこのアパートに引越して来た日にシュウと二人で撮った写真が写っていた。



「…この頃が一番良かったな…」



そう一人呟くと部屋の隅に置かれた、自分達で書いた未来日記に目をやった。

2年も見ていない、埃だらけで色褪せていた。



「いつからこんなことになったのかな…」


もう涙も出ない、悔しいと言う感情すら湧いてこなかった。



「あの頃に…」


「あの頃に…」



「あの頃に戻れたら…」


もうケンタが思いつく方法は一つしか残ってなかった。



立ち上がり台所に行くと、昔家から持ってきた包丁を取り出し、汚れたカバンに入れた。