ケンタは家に戻る道を歩いていた。

手には1万円だけ握られていた。

エリから貰った3万円の内、2万円はすでに帰りに行ったパチンコで使われていた。


そして、アパートの二階に上がり自分の玄関を見ると、見覚えがある大柄な男性が二人立っていた。


「…あ」


「ぉお~清水さんじゃん、携帯も出ずにどこに行ってたの?」


(借金の取り立て屋だ-)


「あ、いやすいませんちょっと買い物に…」

「手ぶらで?
ウチに返す金は無いのに買い物する金はあるんだ?」


アルバイトも辞めてパチンコばかりの日々になってから借金がどんどん膨らんでいた、そこで最後に借りた金融屋が完全に闇金だった。
利息すら払えない日が続き、ずっと居留守をしていた。


「すいません、月末には返しますんで…」