ドクンッ──…

そのとき、胸の奥の方で何かが音を立てた。


その、何か、が。

私には、ずっと分からなかった。

分からなくて、何度も考えた。


まさか、そんなはずは……

いや、でももしかして……


そんな感情が、見え隠れしていたのかもしれない。


だけど、

さっきの言葉を聞いて、見えない出口から光が差したようだった。


「それ」を見つけた瞬間。

温かいものがゆっくりと、少しずつ、時間をかけて、全身を巡っていく。


それは、まるで失っていた感情を取り戻せたような気分で。