「今日は、あなたに用があって来たの。……三浦くん抜きで二人で話がしたいの」

女の子は、そう言った。


えっ……

私に用がある……?

その言葉の意味が理解できなかった。

だって、私とこの女の子を結びつなげるものなんて向葵くんしかいないのに…

その向葵くんを抜きにして、二人だけで話がしたいと持ち出したこの子。

さすがにそれは無理だと思い「…ごめんなさい。」と呟いたあと、踵を返して、歩きだそうとした──


「お願い。最初で最後でいいから、私の話を聞いてほしい」


振り絞るような声が、後ろから聞こえてきて、私は思わず、ピタリと足を止める。


「…最初で最後?」

「うん。お願い…」


その真っ直ぐな瞳を見たら、断ることなんてできなかった私は、小さく頷いた。