絢斗……


こんなに素敵なあなたに、そんなキュンとすること言われたら、感動で泣けちゃうよ。


「りょ、料理を褒めてもらって嬉しいですけど、た、ただの庶民の料理ですから」


私は、照れ隠しで必死で笑顔を作った。


顔、きっとひきつってるだろう。


「庶民って……」


絢斗も少し笑った。


ダメだ……顔が自然にニヤける。


さっきから何度幸せを感じたら気が済むんだろう。


絢斗の、この麗しい姿、美し過ぎる顔、甘くてセクシーな声。


2人きりのこの空間に心が満たされ過ぎて、私の中からいろんな感情が溢れ出しそうになる。


だけど、何も感じてないよって……


必死に緩む口元を引き締めながら、何とかクールな感じを装った。


でも、次の瞬間、また思ってしまうんだ。


こんな嬉しい言葉をそのまま受け取って、後でショックを受けるようなことがあったらどうしようって。