「美味しそうだな。ありがとう、いただきます」


ソファの隣同士に座って、まずはワインで乾杯した。


それから、絢斗はパスタを1口食べた。


どうだろう……口に合うといいけど。


「うん、すごく美味しい。一花、料理、上手いんだな」


うわぁ、やったぁ!!


これだ、この言葉が欲しかったんだ。


素直に、嬉しい。


私は本当に幸せな女だ。


たとえ絢斗の言葉がお世辞だとしても、それでも全然いいと思った。


「この鯛も新鮮で美味しい」


さっきレモン汁をかけて仕上げた鯛のカルパッチョ。


「マンションの近くのお魚屋さん知ってますか? 初めて行ったんですけど、鯛が美味しいからって勧められて」


「奥さん」って呼ばれたことは、さすがに恥ずかしくて言えない。


「行ったことはないな。でもいい鯛だ。カルパッチョにして食べたのは初めてだ」