それに……私は奥さんじゃないんだしね。


気持ちを切り替えて、パスタを茹でるためにお湯を沸かした。


すぐに、着替えを済ませた絢斗が部屋から出てきた。


何か持ってる。


えっ……花束?


確か、さっき紙袋を持ってたけど……


そこに入ってたのかな?


「これ。君に……」


「わ、私に……?」


「ああ、一花に」


小さめの花束だけど、オレンジ系の可愛いお花が数種類詰まってて、かなりのセンスを感じる。


嬉しい……


嬉し過ぎる。


男性にお花をプレゼントされたのは初めてだ。


「可愛い。こんな素敵な花束、嬉しいです。本当にありがとうございます」


「女性に花をプレゼントするのは初めてだから……どんなのがいいかわからなかった。すまない」


絢斗……ちょっと顔が赤い?


「そんな! こんなに可愛いの感激です! 嬉しいです」


絢斗が女性に花束をプレゼントしたことがないなんて、ちょっと信じられないけど……