キュッと眉間にシワを寄せる竜王様。うそん。急転直下、激怒ってか! 『竜王様、意外と怖くないじゃん』なんて思ったのは私の勘違いだったか。
 急に悪くなった雲行きに、私の鼓動が速くなりました。
「配膳係さんが悪いんじゃなくて、見た目にも高級な器とわかりつつも使ってしまった私が悪いんです! この適当な性格のせいなんです、申し訳ございませんでした!」
 とにかく悪いのは私で、配膳係さんはとばっちりだということをハッキリさせなくてはと、私はまくし立てました。
 こんなテキトー女、放り出されても仕方ないです。覚悟できました!
 ぎゅっと目を閉じ指を組み、竜王様の沙汰を待ちます。
「もう……わかった。勘弁してくれ。腹が痛い」
「えっ!?」
「いや、あまりにもそなたの話がおもしろすぎて……」
「? 竜王様、笑ってらしたんですか?」
「どう見えたのだ?」