フォーンさんの慌てた声が聞こえたけど、それを竜王様が遮りました。まだ調子に乗ってしゃべっていいってことよね?
「はい。たまたま見つけた海藻で出汁を取ったら故郷の味になりまして、それをたまたま味見したトープさんが気に入ってくれたので、忙しいメイドさんたちに代わって、私が賄い担当になったんです。料理のほかにできることってなかったので、仕事ができてよかったです」
「……っ、それはよかったな」
「はい!」
「しかし、どうしてその『マカナイ』が余のところにきたのだ?」
「あっ……」
 さっきまで笑って少しやわらかくなっていた竜王様の目もとが、また素に戻りました。
「賄いを盛りつけようとしたら、器がなくて……」
「ほほう」
「適当に、近くに置いてあった器を使ったら、それがこちらにお出しする器だったようで……」
「それで?」
「配膳係が間違えて持ってきてしまったようなのです」
「そうか……」