もしかしたらまだ思い出していないミッションがあって、またなにかのきっかけで思い出したりしたら? ……また迷惑かけるのは、嫌です。
 それならこの混乱に乗じて消えてしまう方が、みんなのため……竜王様のためになるんじゃないでしょうか。
 そうだ。せっかく計画通り『置き土産』もできたことだし。
「予定通り、出ていくのでもいいですか?」
 いろいろ考えたけど、覚悟を決めてトープさんに聞きました。
「本当にいいのかい?」
「はい。連れていってください」
「そうかい。じゃあ、止めないよ」
 そう言って私の頭を優しくなでてくれるトープさん。この人にもめっちゃお世話になったなぁ。こんな慌ただしいお別れは嫌なんだけど、仕方がない。
 さよなら、竜王様。お世話になりました。
「竜王様には、お世話になりましたとお伝えください」
「できればね」
「そうですね」