【今度、近いうちに梓とどこかに行きたい。どこに行きたいか考えておいて。どこに行きたいかは直接会ったときに話そう】


 町田さんにお願いされた日に偶然、光くんからどこかに行きたいというメール。
 私は光くんのメールに返信はしなかった……。



 * * *



 光くんのメールから三日後、その間、光くんとは顔を合わせていない。

 帰り道。

 私はいつも通りの道を通って帰っていた。


「梓‼」


 私の後ろから光くんの声がした。


「光くん」


「よかった、梓に追いついた」


 光くんは走ってきたからか、かなり息が上がっていた。


「メール、見てくれた?」


「……うん」


「それでさ、どこか行きたいところ考えてくれた?」


「……え……」


「いいよ、どこでも」


 光くんの無邪気な笑顔。

 ……どこでも…………違う……違うの、光くん……そういうことでは……。

 光くんの純粋で無邪気な笑顔を見ると……。


「……あの……」


「うん?」


「あのね、光くん……」


「どうしたの?」


「……えっとね……」


 光くんのその無邪気な笑顔が私の決心を鈍らせる……。


「……しばらく忙しくて……だから……」