「悪気はなかったとはいえ、あんなこと……本当に本当にごめんなさい……」


 私はそう言って頭を下げ、そのまま下を向いてしまった。


「梓……」


「…………」


 私は何も言えずに下を向いたまま動くことができなかった。


「梓……」


「…………」


「顔を上げて、梓」


 光くん……なんてやさしい声……。


「梓」


 光くん……。


「梓」


 私はまだ下を向いたまま。

 ……って……。

 ……えっ……。

 突然、私の頬が温かくなった。

 ……光……くん……。

 私の頬が温かくなったのは、光くんの手が私の頬に触れたから。

 そして……。


「梓、オレは何も気にしてないよ。梓の気持ちも、すごくわかったから。すごく辛かったよね。ごめんね、梓。あのときはオレが軽率だった」


 光くん……。

 光くんは、なんでそんなにもやさしいの? なんでそんなにも……。


「梓……?」


「…………‼」


 私……なんで……。

 気付いたら私の頬に涙が伝っていた。


「梓……」


 光くんは私の頬に伝った涙を拭ってくれた。


「光くん……」


「梓、謝らないで。梓は全く悪くない」


「光くん……」


「だから、ねっ」


「ありがとう、光くん」


 私は光くんに感謝の気持ちでいっぱいになった。

 そして下を向いていた顔を少しずつ上げた。