「オレにとっては精一杯のきっかけ作りだった」


「光くん……」


「オレは、なんとかきっかけを作ることができてよかったと思っている。だって今こうして梓と話すことができている。友達として梓と接することができている。それはオレにとって、ものすごく嬉しいし幸せなことだから」


「光くん……」


 私は光くんの気持ちが嬉しかった。

 光くんは、こんなにも私のことを想ってくれている。

 そんな光くんの想いに私の心の中が温かいものに包まれた。

 光くん、本当にありがとう。


 ……あ……私……光くんの想いに心の中が温かいものに包まれ過ぎて肝心なことを言いそびれそうになった。
 光くんに一週間前のあの日のことを謝らなくては……。


「……光くん……」


「うん?」


 光くんのやさしい声。

 光くんは本当にやさしい。

 光くん……。


「……あの日……一週間前のあの日……光くんに……あんなこと言って……本当にごめんなさい」


「梓……」