私は、そのままぼーっと歩き出していた。


「梓‼」


 ……え……? 光くん……?

 光くんは突然、私の腕をつかみ、そして……私のことを抱きしめた……。


「ごめん、梓……」


 ……光くん……。


「本当にごめん、あんなことを訊いてしまって……オレ……オレはなんて非常識なことを……」


 ……光くん……。


「……不安……だったんだ……」


 ……不安……?


「もし梓が隼翔っていう人のことを好きで……それで、もし……もし……」


 ……?


「……もし……その隼翔っていう人と付き合うことに……いや……もうすでに付き合っていたらって……そう思うと……」


 ……光くん……?


「確かにさっきの梓と隼翔っていう人の様子を見た限りではラブラブのカップルには見えなかったけど……」


 …………。


「……でも……でも、やっぱりすごく心配で……」


 ……心配……?


「……ごめん……なんか遠回しに言って……」


 ……遠回し……?


「……梓……」


 ……光くん……?


「……オレがいる……」


「……え……?」


「……オレじゃダメか?」


 光くんはそう言うとより強く私のことを抱きしめた。


「光……くん……?」