「だから行こ」


 光くんはそう言うと私の手を握りそのまま引っ張りながら前に進み出した。


「え……ちょっと光くん」


 光くんは何も言わずに私の手を握り前に進み続けた。



 それからしばらく歩いていたら突然、光くんが立ち止まった。

 突然、光くんが立ち止まったから私は少し驚いた。


「……光くん……?」


「…………」


 光くんは無言のまま。


「……光くん……?」


「…………」


 無言の光くんに対して私はどうしたらいいのかわからなかった。

 光くんはまだ私の手を握ったまま。

 一体どうしたらいいのか私はすっかり困り果てていた。

 お願い光くん何か言って……そう思っていたそのとき……。


「……梓……」


 光くんがようやく口を開いた。


「……うん……」


 ……光くん……?


「オレ、梓と一緒に帰りたい一心でついこんなところまで……ごめんね」


 光くんはそう言うと握っていた私の手を離した。


「じゃあ、オレと梓が帰る分かれ道のところまで一緒に行こ」


 光くんはそう言ってまた歩き出した。

 私はそんな光くんに言わずにはいられなかった。


「光くん」


 私は光くんの名前を呼んで……。


「うん?」