「ねえ、ヒビキくん。
好きなの。私とまた付き合って。」

まだクラクラしている中、見覚えのある顔がそう告げた。

俺は...キャンパスのベンチで居眠りをしていたんだと思う。

ああ、珍しく難解な本なんか読むからだ。

変なやつにまた...。

「ヒビキくん。」

「...。」

「夢をみているの?」

「...お前は、ミヨリ?」

「そう、覚えていてくれたんだね!」

「なんで...ここに。」

「一緒に大学、入学したんだよー?
ねえねえまた一緒に授業行けるね。」

「...なんか不吉なことを口走ってなかった?」

「不吉じゃないもん。
好きなの。付き合って欲しいの。」

「断る。」

「どうして?」

「...どうしても。」

ああ、まだクラクラする。

読書と日向ぼっこなんてするもんじゃないな。

「私は諦めない!
ねえ、せめて授業には一緒に行こうよ。」

「...嫌。」

「嫌はミヨリのなかでは肯定なんだよ?」

「嫌だ。」

「いいんだね。ヒビキくん。」

...眠い。

「ヒビキくん。顔ちょっと赤いよ?」

「そんなこと...。
おい...。」

ミヨリの手が、額に...。

冷たい。

「やだっ。ヒビキくん熱がある!早く医務室に行かなきゃっ。」

「落ち着け。お前の手が冷たいだけだ。」

「うーん。さっき冷たいお水触ったからかなー。
でも、お熱測った方がいいよ。体温計持ってるから。」

「なんで持ってんだよ。」

「はい、あーんして?」

「人の体温計、口に突っ込めるか。
それならちゃんと医務室に行く。」

「えへへ。( ´ ▽ ` )お利口さんだねー♪」

久しぶりに会ったが何も変わっていないということだけは分かった。