「由希ちゃん 軽井沢 嫌いだったでしょう。」

ふいに 絵里加のママに 聞かれる。
 

「どうしてわかるの?」

由希が 驚いた声で答えると、
 

「私も同じだから。」


絵里加のママは 優しく微笑んだ。



夕食の準備を手伝って 二人で キッチンに立っている時。
 


「本当に?絵里ちゃんママも 軽井沢から出たいと 思っていたの?」

由希は 手を止めて 絵里加のママを見る。
 

「そうよ。大嫌いだったわ。華やかな町なのに 住民は貧しくて。町から出ようとしない人達は 向上心がないし。」


絵里加のママも 由希の方を向いて話す。


由希は大きく頷く。
 


「うちなんて 両親が公務員だから 特別な家みたいに 言われたのよ。信じられないでしょう。」

むきになって答える由希。