「さっきの結ちゃん、偉かったわね。」
少し離れたテーブルで ご機嫌に 子供用の椅子に 座る結子の方を見て 祖母が言う。
「本当。驚いたわ。まだ2才前なのに 信じられないわ。泣いたり 怖がったりしないし。」
保育士の母は 心底 驚いていた。
「結ちゃん いつもお利口だよ。デパートとか レストランでも グズらないし。」
由希が言うと、
「絵里ちゃん達も、そうだったのよ。どういう風に 育てているのかしら。」
と母は言う。
「家では普通だよ。でも 誰も怒らないの。みんなが ゆったり 接している感じかな。」
由希の答えに、母は フーンと頷く。
「やっぱり 余裕のある家は 違うのかな。」
と言って。
「そうじゃないと思うよ。絵里ちゃんの家だって やっていることは 同じだし。私達には わからない苦労も あると思うよ。みんなの心が 豊かなんだよ。」
由希の 大人っぽい答えに、みんなが 顔を見合わせる。