入学式には 両親と 絵里加のママも 参列してくれた。
式の後、4人で 食事をする。
「パパの学校で 由希の合格が 話題になっていてね。どんな風に 勉強をさせたのか 色々聞かれるんだよ。」
珍しく、スーツを着た 父が言う。
母も、得意気に頷く。
「普通の勉強だけじゃ 無理だよ。やっぱり 東京のゼミに 通ったのが良かったみたい。」
素直に答える由希に 両親は驚く。
「由希ちゃん 随分 素直になったわね。家にいた頃だったら 関係ないでしょうって 顔したくせに。」
母が言うと、
「親元を離れると 親のありがたさが わかるのよね。」
と絵里加のママが 由希を見て言う。
由希は、照れた笑顔で、
「絵里ちゃんの家、みんな 素直だから。ママみたいに 怒ってばかりの人 いないし。」
と肩をすくめる。
「ちょっと。私のせいみたいに 言わないでよ。」
母は、膨れた顔をする。
「ほら、またあ。」
と笑顔の由希に言われ、みんなが 笑ってしまう。
「美奈ちゃん、本当は とっても優しいのに 表現が下手だから。損しているのよ。」
絵里加のママは、温かな笑顔で言う。
照れて きまり悪そうに 苦笑する母に、
「ママ。褒められたわけじゃないよ。」
と由希が言って、みんなが笑う。