入学式までの 十日少々で 由希は 絵里加の家族との生活や 東京に だいぶ慣れた。


お祖母様の家で暮らす 恭子ちゃんとも すぐに 仲良くなれた。

今年 大学を卒業したばかりの 恭子ちゃんは 絵里加よりも 庶民的で 親しみやすい 雰囲気だった。


絵里加の家に来ては 由希の 話し相手になってくれる。
 

「高校で 不安なことは、なんでも聞いて。」

と明るく 頼もしい言葉を かけてくれた。
 


「私 田舎者だから。友達できるかしら。」

東京の子は 垢抜けているから 地方出身の由希は それが 心配だった。
 

「大丈夫よ。高校から入る子は みんな独りだから。すぐに 友達ができるわ。それに 地方から入学する子も きっと何人かいるから。」

と真剣に 由希の言葉に 答えてくれる。
 

「勉強は 大変ですか?試験、多いのかな。」


恭子ちゃんの 気さくな人柄に惹かれて、由希は 色々聞いてしまう。
 


「由希ちゃんなら 大丈夫。付属の子は 勉強しない子が 多いから。地方から受験して 合格した子は だいたい トップグループに いたわよ。」


恭子ちゃんの言葉に 由希は 少しほっとした笑顔になる。
 


「由希ちゃん 今度 学校まで 一緒に行ってみようか。何回か 行っておいた方が 安心でしょう。」

と言ってくれる。
 

「本当ですか。すごく助かります。一人で 行ってみようと 思っていたから。」

由希も 素直に答える。



二人の様子を 笑顔で 見ていた絵里加のママは、
 

「由希ちゃん よかったわね。恭子ちゃんが 近くにいて。」

と優しく言う。
 


「はい。絵里ちゃんと恭子ちゃんと 二人も お姉さんができて 最高です。」

と由希も 弾んで答える。