「由希、お利口に 待っていたね。」 祖父は 由希を抱き上げる。 小学校に入学してから 由希は 父や母に 抱かれなくなった。 でも 祖父はまだ 由希を抱いてくれる。 「ねえ。じいじ。絵里ちゃんも来る?」 美しい従姉弟は、本当に お姫様のようで。 由希の憧れだった。 「絵里ちゃんも 壮君も来るよ。また、遊んでもらえるね。」 抱き上げた由希に、祖父は優しく言う。 ニコッと笑う由希を、満足そうに 見つめながら。