由希がいない間に 智之は 由希の学費を 援助させてほしいと言った。
「俺が 由希ちゃんを その気にさせちゃったから。和君が 用意していることは わかるけど。奨学金だと思って 俺に援助させて。」
智之の 謙虚な言葉に 父と母は 驚いて 顔を見合わせる。
「由希の生活費は 甘えても、学費までは。」
父が恐縮して言うと、
「ずっと 麻有ちゃんのパパとママ 面倒みてもらっていて。和君と美奈ちゃんがいるから 俺達 こっちで頑張れるんだよ。こんな事じゃ 全然足りないよ。」
智之の言葉に、
「私達 パパとママのおかげで 仕事続けられたから。逆に パパとママを 利用しているのに。」
と母は、声を震わせた。
「和君が 良くしてくれるからよ。パパもママも ずっと元気で 幸せなのよ。」
豊かなのに謙虚で。
謙虚だから、より豊かになるのか。
母は、この家に 由希を預けることが どれほど 由希に良い事か 改めて気づいた。